「年収」という言葉は、転職のときも、申請書類を書くときも、ごく自然に出てきます。でも、いざ数字を書こうとすると、手取りと混同していたり、どの金額を指せばいいか分からなくなることがあります。
地域情報メディア『ヤマノテラス』のエリア担当ライター、タケシです。わたしも以前、転職のタイミングで年収を聞かれ、手取りの数字を答えてしまったことがあります。
この記事では、年収と手取り・所得の違い、制度申請で出てくる場面、札幌市での住民税や保育料との関係を順番に整理します。
年収と手取りは何が違うのか
年収とは、税金や社会保険料が引かれる前の、1年間の総支給額です。給与明細でいう「総支給」に近い金額で、源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載されています。
手取りは、そこから所得税・住民税・社会保険料を差し引いた、実際に口座に振り込まれる金額。目安として年収の75~80%程度になることが多いです。
所得という言葉と混同しやすい理由
「所得」は、収入から必要経費や給与所得控除を差し引いた後の金額です。会社員なら、年収から給与所得控除を引いた「給与所得」がこれにあたります。
迷いやすいのが、年収・所得・課税所得の三つが文脈によって使い分けられる点。制度の書類には「所得」と書いてあるのに、実感としては年収の感覚で数字を書きそうになる場面があります。

制度申請では「年収」と「所得」を同じ数字と思わないことが大事です
制度申請で年収が出てくる主な場面
年収という言葉は、住宅ローン審査や転職活動だけでなく、各種の行政手続きでもよく登場します。ただし、制度によって「何の数字を見るか」がずれることがあるため、先に確認しておくと楽です。
- 住宅ローン審査(年収ベースで返済比率を確認)
- 保育所の利用申請(市民税所得割額で判定)
- 奨学金・各種給付金の申請
- 児童手当(2024年10月から所得制限撤廃)
- 障害福祉サービスの自己負担上限額の算定
申請の場面ごとに「どの数字を使うか」が異なります。書類に何を書くか迷ったときは、まず申請先の窓口に確認するのが確実です。
保育料は年収ではなく所得割額で決まる
札幌市の認可保育所の保育料は、世帯の市民税所得割額の合計で判定されます。年収をそのまま当てはめる仕組みではないため、ここは注意が必要な点。
所得割額は、所得から各種控除を引いた課税所得に税率をかけて算出されます。同じ年収でも、扶養人数や医療費控除の有無によって所得割額が変わるため、保育料の階層も変わることがあります。
なお、札幌市では2024年4月から、世帯年収にかかわらず第2子以降の保育料が無償となっています。正確な保育料は、さっぽろ子育て情報サイトや区の窓口で確認できます。
住民税で見ておきたい数字の関係
住民税(市民税・道民税)は、前年の所得をもとに計算されます。所得割は課税所得の10%が基本の税率で、均等割として市民税3,000円・道民税1,000円が加算される仕組みです。
年収が変わると翌年の住民税が変わる、という流れ。転職や副業で年収が動いた翌年は、特別徴収の金額も変化することになります。
札幌市では、源泉徴収票などの数字を入力して住民税を試算できる「住民税額シミュレーション」をウェブ上で提供しています。西区・手稲区を担当するのは西部市税事務所(電話:011-618-3914)です。
世帯年収で迷いやすいことがある
共働きの場合、「世帯年収」は二人分の年収の合計です。ただし制度によっては、世帯の合算ではなく申請者本人の所得だけを見るケースもあります。
わたし自身もパートナーと二人で暮らしていて、申請書類を前に「二人分を足していいのか」で迷ったことがあります。
申請前に「世帯全体の合算か、申請者本人の数字か」を確認しておくことで、後から数字を入れ直す手間が省けます。
転職のときに確認しておきたい数字
転職活動で「現在の年収を教えてください」と聞かれたときは、手取りではなく額面(税込み)の年収を答えるのが通例です。源泉徴収票の「支払金額」がその数字になります。
内定後の条件確認では、提示される金額が年収(額面)なのか月給なのかを確かめることも大事。賞与の扱いによって年収の内訳が変わるからです。
「支払金額」の欄が年収(額面)にあたります。
賞与込みの数字かどうかで、転職後の比較がずれることがあります。
「年収」か「月給×12」か、賞与が別かを先に聞いておくと安心です。
年収と扶養の関係で気になる点
扶養に入るかどうかの判断では、年収103万円・106万円・130万円といった区切りがよく出てきます。ただし「103万円の壁」で使われる収入と、社会保険の「130万円の壁」で使われる収入は、計算の前提が異なります。
- 103万円の壁(所得税)
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給与収入が103万円以下なら、所得税がかからない目安の金額です。
- 130万円の壁(社会保険)
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この収入を超えると、扶養から外れて自分で社会保険に加入する必要が生じます。
- 106万円の壁(社会保険・条件付き)
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勤務先の規模や労働時間によって、106万円から社会保険加入が必要になる場合があります。
いずれの基準も、制度の変更や職場の条件によって扱いが変わることがあるため、申請前に公式情報で確認しておく価値があります。
よくある失敗と気をつけたいこと
意外と多いのが、申請書に手取り金額を年収として書いてしまうケースです。源泉徴収票を手元に置いて確認するだけで、この間違いはほぼ防げます。
もう一つ、制度判定で「所得」と書かれているのに、年収の感覚で数字を入力してしまうこともあります。実際に制度申請の場面では、担当窓口に「何の数字を書けばよいか」を一度確認するのが確実。書類を取りに行く前に電話で聞くだけでも、後から書き直す手間が省けます。
公式情報の確認先と使い方
年収や所得に関わる制度の情報は、時期によって変更されることがあります。数字の前提が変わると、判定結果が変わることも。手元の情報が古くないか、確認できる場所を把握しておくと安心です。
- 住民税の試算:札幌市「住民税額シミュレーション」
- 保育料:さっぽろ子育て情報サイト
- 窓口相談(西区・手稲区):西部市税事務所
- 給与所得控除の計算:国税庁ウェブサイト
複数の制度が絡む場合は、まず自分が確認したいことを一つに絞ってから調べるほうが、情報が混乱しにくいと感じています。
この記事を読んだ方への一言
年収という言葉は日常的に使うわりに、いざ書類を前にすると「どの数字を入れればいいか」で迷いやすいものです。今日の時間があるときに、源泉徴収票を引っ張り出して「支払金額」の欄だけ確認してみてください。
申請の場面ごとに見る数字が違う、ということが分かるだけで、次に書類を書くときの迷いがずいぶん減る気がしています。わたし自身、手取りと年収を混同していた時期があったので、早めに整理できてよかったと感じています。
一つだけ確認する、そこから始めるだけで十分です。この記事が、数字の迷いが少し減るきっかけになったらうれしいです。













