山に入るわけでもないのに、ヒグマの話題がこんなに身近になってきたのはいつ頃からだろう、とふと思ったりします。みなさんも札幌市内でも出没情報が出るようになって、山際の公園や近郊の道路を走るたびに、なんとなく頭の片隅に置いておくようになっていたりしませんか。
ヤマノテラスのエリア担当ライター、タケシです。今回は北海道が令和8年度予算で大きく動かしたヒグマ対策について「広報誌 ほっかいどう6月号」の記事をもとにまとめました。制度の名前だけ知っても「で、自分はどうすればいいの」で終わりがちな話なので、そこを中心に整理しました。
ガバメントハンターという言葉、ゾーニング管理という言葉、どちらも最近よく出てくるけれど「何が変わるか」まで追えている人はそう多くはありません。行政が動いている背景と、わたしたちが今確認できることを順に見ていきます。

令和8年度のヒグマ対策費は前年比約5倍になった
令和8年度の北海道一般会計予算案には、ヒグマ対策費として6億500万円が盛り込まれています。前年度当初予算と比べると約5倍という大幅な増額で、これだけの規模でヒグマ対策を打ち出すのは北海道としても異例のことです。
背景にあるのは、市街地近くに現れる「アーバンベア」と呼ばれる個体の増加や、農業・観光への影響が年々大きくなっていること。数字だけ見ると驚いてしまいますが、道としては「もう現状維持では追いつかない」という判断があったようです。
ガバメントハンターとはどんな役割なのか
記事の中で出てくる「ガバメントハンター」は、民間ではなく行政と連携してヒグマ対応にあたる専門の人材を指します。一般の猟師やハンターとは異なり、ヒグマが出没した際に行政の指示のもとで対応できる体制を整えることが目的です。
今年度の補正予算では箱わなやクマスプレーの費用、そして配置前の研修費用も含めてガバメントハンターの整備が進められています。自衛隊員や警察が対応する際のコストもここに含まれており、実働に近い準備が着々と動いている状態です。
ゾーニング管理は何を変えようとしているのか
ゾーニング管理とは、道内を区域ごとに分けて、どこではクマを保護し、どこでは人の活動を優先するかをあらかじめ決めておく仕組みです。これまでは出没のたびに個別対応していたものを、区域設定によって整理していこうという方向性のようです。
北海道は2025年度からこのゾーニング管理を道内全域で推進する方針を打ち出しており、令和8年度予算でもその推進に費用が充てられています。市町村レベルでゾーニング計画を策定した地域には補助金も出る仕組みで、自治体ごとの動きに差が出てくる可能性があります。
今年度からどんな取り組みが始まっているか
記事には新技術を活用した支援として、ドローンやAIを使ったヒグマの行動把握も盛り込まれています。出没情報の発信体制も見直され、発生時により迅速に情報が届くよう整備が進む見通しです。
- ガバメントハンターの配置
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行政と連携してヒグマ対応にあたる専門人材。箱わな・クマスプレー・事前研修の費用が補正予算に計上されている。
- ゾーニング管理の推進
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道内を区域ごとに分け、保護区域と人間活動優先区域を設定。市町村がゾーニング計画を策定すると補助金の対象になる。
- AIとドローンの活用
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ヒグマの行動把握や出没予測を技術面から支援。出没情報の発信も迅速化される方向で整備が進む。
山菜採りやキノコ狩りで気をつけたいこと
記事の中で「山菜・キノコ採り、登山」の場面が別枠で扱われているのは、この時期に遭遇リスクが上がるからです。ヒグマの活動が活発になる春から秋にかけて、入山する際の基本的な行動が改めて整理されています。
- 鈴やラジオなど音の出るものを持って行くこと
- 一人での入山を避け、声を出しながら移動すること
- 食べ物やゴミは必ず持ち帰ること
- フン・足跡・引っかき跡を見たらその場を離れること
- クマスプレーの携帯と使い方の事前確認を怠らないこと
わたし自身、キノコ採りに行く友人から「どこが安全か」とよく聞かれるんですが、「安全かどうか」より「情報を見てから判断できるか」のほうが大事だと最近は思っています。出発前に出没情報を一度確認するだけで、動き方はだいぶ変わります。
住宅地・庭周りでできる備えとは
市街地でのヒグマ出没が増えている今、山に行かない人にも無関係ではなくなっています。記事では住宅地向けの対策として、ゴミの適切な管理と人の存在を示すことが挙げられています。
具体的には、生ゴミや食べ物のにおいを外に残さない、収穫後の果樹は実を放置しない、引き寄せる原因になるものを片付けるといった、日常の延長でできることが中心です。特別な対策より「呼び込まない環境を作る」ほうが現実的です。
出没したときに何が起きるかを知っておく
ヒグマが実際に出没した場合、地域によって対応の流れが異なります。ガバメントハンターの整備が進むことで、行政が主導して早期対応できる体制に変わっていく方向性が今回の予算では打ち出されています。
ただ、全市町村で同じ体制が整うには時間がかかります。自分の住む地域がどの段階にあるかは、市町村の公式ページや北海道庁のリンク集から確認できる状態になっています。公式情報は定期的に更新されるので、一度だけ見て終わりにしないよう気をつけましょう。
万が一出くわしてしまったときの行動
記事にも「それでも出会ってしまったら」というコーナーがあります。パニックにならないために、事前に動きを頭に入れておくことが大切です。
目を合わせたまま、ゆっくり後退する。走って逃げると追いかけてくることがある。
接近してきた場合に備え、すぐ出せる状態にしておく。使用距離の目安は5~7メートル程度とされている。
その場を離れたら速やかに市町村や警察へ連絡する。出没場所の特定につながる情報(時刻・場所・頭数)があると対応が早くなる。
公式の出没情報はどこで確認できるか
北海道庁の環境生活部自然環境局のページに、市町村ごとのヒグマ関連情報へのリンク集があります。札幌市や石狩エリアの情報もここから確認できるので、ブックマークしておくだけで動きやすくなります。
問い合わせ先として、道のヒグマ対策室(電話011-231-4111)も公開されています。制度のことや地域の対応について直接聞きたいときは、ここが窓口です。記事内にある電話番号(TEL:011-204-5930)は北海道ヒグマ対策室の別番号として記載されています。公式サイトで最新の番号を確認するとより確実です。

出没情報を事前に見てから動くだけで、行き先の選び方が変わってきます
今週末に一度やっておくと安心なこと
北海道庁の「市町村ヒグマ関連情報リンク集」を開いて、自分の住む地域のページを確認しておくだけで十分です。難しい申請も手続きも不要で、出没状況や注意エリアが地図や一覧で見ることができます。わたしも先日、石狩エリアの情報をざっと確認しましたが、思っていたより更新頻度が高くて少し驚きました。
ガバメントハンターの整備もゾーニング管理も、制度として整っていくにはまだ時間がかかります。一方、「出没情報を見る習慣」は今日からできることです。特別な準備がなくても、情報だけは持っておくことができます。
山に行かない日常でも、少し知っておくだけで気持ちが変わります。もしものために知っておきたい熊に関する情報、一度のぞいておくとよいと思います。













